鑑定の逃げ方
先週、東京ビッグサイトで開かれていた「国際宝飾展」。テレビでも取り上げられており、話題はやはり「人工ダイヤモンド」についてでした。といっても、人工ダイヤモンドの出展ブースや取扱業者の数はそれほど多くな話題の方が先行している感がありました。
さて、そこでは天然と人工ダイヤモンドの判別機の展示・販売もあり何人かの人が足をとめていました。私も興味深々で、手元にもっていた天然ダイヤモンド原石をとりだして「これ、判別してもらえますか?」と聞いたところ、担当の方は怪訝そうな顔をして機械の上においてくれました。
結果は[PASS]、天然の可能性があるとのこと。当然です。それ以外の結果がでれば、その機械がおかしいということになります。
しかし、人工ダイヤモンドの技術は進歩しており、もらってきた判定機械メーカーのパンフレットにはいずれも「天然の(あるいは人工の)可能性がある」という表現に留まっています。断定することはやはり難しいレベルにダイヤモンドもきているということです。
そして、それに倣っているのかわかりませんが、プロポーズリングを渡すときについているダイヤモンド鑑定書も同じことが言えそうです。私自身が何年か前に妻に渡したリングの鑑定書を見ると、表面にはサイン、シリアルナンバー、社印、シールと様々なものがついていますが、その裏面には白地にグレーの文字で目立たないようにびっしりと規約・注意書きが書いてあります。
そこには、「鑑定・グレーディングは、検査時において〇〇〇が採用する技術と情報に基づき、依頼品を非破壊という条件の下で検査し、その結果を学術的に判別するものである」とあります。
この「検査時」という文言が、その時だけを限定しており、今後技術発展したときには保証できないことを示唆しているようにも思えます。
もちろん、重箱の隅をつつくことをしたいわけではなく、それだけダイヤモンドの業界も急速に進歩発展している証なのです。
ブランドマネージャー 北川大輔