ダイヤモンド投資

「資産防衛のためのダイヤモンド投資」という書籍をみかけ、気になったので読んでみました。

中身を要約すると次の通りです。

・ダイヤモンドの価値は市況の影響を受けず上がり続けている。
・小さい割に価値があるので保管に費用がかからない。
・時間の経過と共に劣化しない。
・中古という扱いがない。

私としては、ダイヤモンドを個人レベルで投資(あるいは資産)対象にすべきかは中立的な立場ですが、実際に[購入→保管→売却]を想像してみるとクリアすべきハードルが(特に売却の時には)ありそうです。

【購入】
研磨された裸石を手に入れるためには、東京・御徒町などにある専門店に行く。あるいは国内の宝石展(1月:東京 5月:神戸 10月:横浜)でも購入は可能なはずです。鍵となってくるのは「適正な価格」で購入できるかどうかです。複数の業社の価格とダイヤモンド市場価格(「ラパポート」というダイヤモンド専門サイトなどで)で「適正な価格」を認識できるか?またその先には交渉(相手は恐らく外国人(インド人??))が待っていると思われます。

【保管】
ダイヤモンド自体は小さいので保険などを除けば費用はかからないでしょう。ただ、取り扱い上かなり慎重にならなければなりません。ダイヤモンドは確かに劣化もせず硬い物資ですが、もろいのです。ここでいう硬いというのは摩耗に強いという意味で、衝撃には弱いのです。落としたり叩いたりしたら割れますが、それ以上にピンセットなどで「触る」レベルで欠ける可能性があります。当然、この欠けによって評価は落ちます。また、困ったことにこの欠けるは目に見えないレベルで起こりえるということです。

【売却】
この売却が私にはなかなか想像がつかないところです。確かに「売る」だけなら売れるとは思うのですが、やはり「適正な価格」というのがやっかいです。

経験上、ダイヤモンド業界は信頼される相手としか商売をしないという商習慣があります。それは、このダイヤモンドがそもそも本当にダイヤモンドなのか?鑑定書と同じダイヤモンドなのか?ということが基本的には相手への信頼でしか担保できなかった歴史があります。考えてみればみなさんがダイヤモンドを買うときもそうでしょう。全く無名で知らない人からはいくら鑑定書がついててもダイヤモンドは買わないと思います(極論の話ですが、、)。

さらに、上記の通り保管の問題もあります。仮にブロックチェーンなどの技術で、ダイヤモンドと鑑定書が紐付けられているとしても、専門家でも見過ごすほどの肉眼では確認しづらいキズや欠けが発生している可能性があり、その意味で信頼できる相手からしか買うことができないという背景があります。つまり、一消費者が鑑定書だけで信頼され適正な価格で売却できるには限界があるように思うのです。

その対応策としては、今の株式投資などの金融商品のように権利とその売買をすべて電子上で行い、現物は他の組織が厳重に管理するというのが現実的かもしれません。

ANOTHER DIAMOND
ブランドマネージャー
北川 大輔