ダイヤモンドが嫌いなもの

ダイヤモンドも人間と同じように好き嫌いがあります。

ダイヤモンドが嫌いなもの、、、

それは鉄(Fe)です。

え?っと思われるかもしれませんが、これは工業界に限ったお話です。

ダイヤモンドは世の中の物質のなかで最も硬い性質をもっているため、長く使える、きれいに削れることで工業界では広く使われています。

しかし、鉄だけはどうしても苦手なのです。

その理由は、鉄をダイヤモンドで加工する過程で熱が発生するからです。その熱が鉄(Fe)とダイヤモンド(C)で化学反応を起こして、鋭利であったはずのダイヤモンドの刃は激しく摩耗してしまうのです。

[PCD刃物 鉄加工の様子]

*黒い部分がダイヤモンド:PCD(Polycrystalline Diamond=微細な人工ダイヤモンドを焼き固めたもの)

[使用前の刃先(x100測定顕微鏡)]

[鉄を3回削った後の使用後の刃先(x100測定顕微鏡)]

上記写真で白い線上の黒い部分が刃こぼれ、つまり摩耗してしまった部分で使用後の刃はご覧の通り不規則な凸凹が確認できます。

※現在、超音波を利用してダイヤモンドの摩耗を防ぐ研究もされています(*)がまだ実用化をされていません。

いずれにせよ、硬さ、熱伝導率、屈折率など突出した特性をもつダイヤモンドも合う、合わないがあるということです。

人間と同じように完ぺきでもなく、そして相性があるということを知るとダイヤモンドが血が通っているかのようにより身近に感じます。

(*)http://iprec.nagaokaut.ac.jp/research/us_grinding/index.html

ANOTHER DIAMOND ブランドマネージャー 北川大輔