エシカルジュエリーとは

「エシカルジュエリー」という言葉を最近少し耳にしますが、それはジュエリーやその素材生産の際に環境や人権に配慮されたプロセスであるものを指すようです。最近私のSNSにはこんな広告が入ってきます。

エシカルジュエリーをファッションの一部に。

鉱山開発の工程が無く二酸化炭素の排出量の少ない人工、、、、鉱山で働く人々の労働環境改善などを行う鉱山で採掘された、、、「エシカル」や「サステナブル」という言葉。実は世界中の誰かの幸せに繋がって、その人も一緒に輝かせている。

環境に優しい素材のみにこだわったジュエリー

ダイヤモンド観点からすると、このエシカルジュエリーは非常に疑わしいと私は思っています。というのも天然ダイヤモンドの採掘現場を生で見たことはないし、またそれは極めて困難であることを経験しているからです。

もし人工ダイヤモンドを使うことが天然ダイヤモンドよりも二酸化炭素排出が少ないというのならどれくらい少ないというのでしょうか?天然との比較する数値があるのでしょうか?そもそも人工ダイヤモンドを作るときは二酸化炭素は排出されないのでしょうか?この手の話で私は数値的な情報を聞いたことがありません。

また、ダイヤモンドを国際輸送するときは、「キンバリープロセス」という紛争などの温床になっていないことを証明する書類の添付が義務づけられているのですが、これをもってクリーンなダイヤモンドとうたっているブランドもいくつかあります。しかし、実際にダイヤモンドの取引をしてると、海外の業者はこのキンバリープロセスを即日発行してくれます。その上で産地はどこと聞くと「Mix」 だと言われます。逆に日本でこの書類を発行しようとすると経済産業省に申請書類と一袋ずつ写真が要求され3週間ほど待たされます。

キンバリープロセス自体が形骸化している感が否めません。

ダイヤモンドのビジネスの中でグレーなことをしている人もいるかもしれませんが、海外では天然ダイヤモンドを採掘して生計を立てている人・家族がいるのです。インドの研磨工場に行った時笑顔で手を振ってくれた職人のように、きっと採掘現場でもそういう人もいるでしょう。アフリカの人々がダイヤモンドを採掘をしている写真をあげて人権侵害だ、搾取だというのはあまりに乱暴な表現です。

エシカル、サステイナブル、人工石、キンバリープロセス、どれも自分の目で確かめることができず、あまりに大雑把に括られています。誤解を恐れず言えば、これらの言葉はダイヤモンドジュエリーを売るために作られた幻想です。

コロナで多くの情報がオンライン化され、その情報を誰もが作り出すことができ、それが伝言ゲームのようになっている今だからこそ、自分の目で見て経験できるものを大切にしたいと思うのです。

 

ブランドマネージャー 北川大輔
ANOTHER DIAMOND
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